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2024.05.20

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扶養範囲内で働けるのは何円まで?具体的な範囲や注意点をご紹介

夫婦で働く際、注意しなければいけないのが扶養範囲です。どちらかがパート・アルバイトで働いているなら、扶養範囲内に収まっていたほうが経済的に都合が良い場合が多くあります。では、この扶養範囲内とは具体的にどのぐらいの範囲なのでしょうか。

ここでは扶養範囲内となる給与額や利用できる特別控除についてご紹介します。扶養についてお困りの方は、ぜひご確認ください。

 

扶養内勤務とは?メリット・デメリット

そもそも、扶養内勤務とはどのような勤務を指すのでしょうか。また、扶養内勤務であるとどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。まずは、これらについて確認しておき、自分は扶養内勤務にすべきかどうかを考えていきましょう。

扶養内勤務の概要

扶養内勤務とは、税金もしくは社会保険のルール上の被扶養者として扱われる範囲で働くことを指します。税金上では、配偶者の場合は配偶者控除もしくは配偶者特別控除、16歳以上の親族を扶養している場合は扶養控除が利用できます。

社会保険では、扶養内勤務をすると社会保険料の支払いが免除され、節税することが可能です。日本は社会保険の加入が義務となっていますが、扶養内勤務であると免除されます。

このように、扶養内勤務といっても税金と社会保険の2つの観点があるため注意が必要です。そのため、どのルールにおいて扶養内勤務をおこないたいのかを考えておきましょう。

メリット

まず、メリットとしては税負担の軽減が挙げられます。配偶者控除や配偶者特別控除を利用すると下記の表のように給与が控除され、かかってくる税金を軽減することが可能です。

パート・アルバイト収入                                        配偶者の年収
1,095万円以下 1,095万円超
1,145万円以下
1,145万円超
1,195万円以下
配偶者控除 103万円以下 38万円 26万円 13万円
配偶者特別控除 103万円超 150万円以下 38万円 26万円 13万円
150万円超 155万円以下 36万円 24万円 12万円
155万円超 160万円以下 31万円 21万円 11万円
160万円超 166.8万円未満 26万円 18万円 9万円
166.8万円超 175.2円未満 21万円 14万円 7万円
175.2万円超 183.2万円未満 16万円 11万円 6万円
183.2万円超 190.4万円未満 11万円 8万円 4万円
190.4万円超 197.2万円未満 6万円 4万円 2万円
197.2万円超 201.6万円未満 3万円 2万円 1万円
201.6万円以上 0円 0円 0円

さらに、パート・アルバイトの年収が98万円以内であると所得税と住民税がかからず、被扶養者のほうにも税金上のメリットが出てきます。

また、社会保険料が免除されることもメリットの1つです。社会保険料が免除されても最低限の社会保障は受けられます。たとえば、扶養内勤務であれば扶養している人の健康保険証が使えるため、支払う医療費を原則3割に抑えることが可能です。

デメリット

デメリットとしては健康保険組合からの給付が制限されることが挙げられます。たとえば、怪我で仕事を休む際に受け取れる傷病手当金は、扶養内勤務をしている人には適用されません。怪我で仕事ができなくなった場合には収入が下がってしまうのです。

また、扶養内勤務をしている人は国民年金となるため、厚生年金の場合と比べると受給額が下がってしまいます。令和2年度においては国民年金が5万円ほどであったのに対し、厚生年金は14万円となっています。このように、年金による老後資金はかなり下がってしまうため、老後資金の確保についても考えておかなければなりません。

扶養範囲内で働くときの壁

一口に扶養範囲内といってもさまざまな区切りがあり、どのように扶養範囲内で働きたいのかを決めておくことが重要です。ここでは6つの代表的な壁についてご紹介しますので、どの壁の扶養範囲内で働いていくべきかを扶養者と話し合って決めていきましょう。

98万円の壁

収入が98万円以下であれば住民税がかかりません。住民税には43万円の基礎控除があります。それに加え、給与収入の場合は給与所得控除が55万円あります。これらを足し合わせた数字が98万円であり、2つの控除によって住民税が免除されるのです。逆に、98万円を超えた場合は住民税がかかってきます。

また、扶養する人の税金への影響や社会保険の影響もありません。税金、社会保険ともにもっとも影響が少ないため、影響を最小限にしたい方は収入を98万円までに抑えておきましょう。

103万円の壁

103万円を超えると扶養する人の税金とアルバイト・パートをする人自身の税金のどちらにも影響が出てきます。まず、103万円を超えると配偶者控除から配偶者特別控除に切り替わります。ただし、前述の表のとおりアルバイト・パートの収入が150万円以下であると控除額は変わりません。利用する控除制度は変わりますが、控除額は変わらないとご認識ください。

アルバイト・パートをする人に対しては所得税がかかってきます。所得税は基礎控除の48万円と給与所得控除の55万円を合わせた103万円までは所得税が免除されるのです。しかし、103万円を超えてしまうと、超えた部分に対して5~45%の所得税と所得税額の2.1%である復興所得税がかかってきます。

106万円の壁

年収が106万円を超えると社会保険に影響が出てきます。以下の条件をすべて満たしているとアルバイト・パートであっても勤務先で社会保険に加入しなくてはなりません。

・勤務先の事業所の従業員数が100名を超える(2024年10月以降は51人以上に改正)

・勤務期間が2か月以上

・月の賃金が8万8000円以上

・週の労働時間が20時間以上

・学生でない

月の賃金に関する条件を年収に直すと105万6000円になり、こちらが106万円の壁と言われている理由です。賃金以外にも条件はありますが、106万円を超えると社会保険への加入が義務となることは念頭に入れておくほうが良いでしょう。

社会保険へ加入すると手取り額が減ってしまいます。しかし、病気やケガで出勤できなくなった場合に傷病手当金をもらえるなどメリットも同時に出てくるものです。社会保険については加入するメリットについても確認しておき、加入するべきかどうかを判断することが重要です。

130万円の壁

106万円の壁までは、条件によっては社会保険へ加入しなくても良い場合がありました。しかし、130万円の壁を超えると、社会保険もしくは国民健康保険・国民年金保険への加入が必須になります。国民健康保険料は自治体ごとに収入別の金額が設定されています。国民年金保険は16,590円です。

このように国民健康保険・国民年金保険への加入は手取り額の減少につながります。社会保険へ加入したくない場合は106万円以下もしくは130万円までに収入を抑えることが必要です。

150万円の壁

アルバイト・パート代が150万円を超えると配偶者特別控除が満額受けられなくなり、配偶者の収入が増えるごとに控除額が減っていきます。具体的にはアルバイト・パート代が150万円以下、配偶者の収入が1,095万円以下であると控除額が38万円であったのに対し、アルバイト・パート代が200万円になると3万円まで減少してしまいます。

控除額はアルバイト・パート代だけでなく配偶者の収入によっても変わってくるものです。前述の表を確認し、自分たちに適している控除額はどれであるのかをしっかりと話し合っていきましょう。

201万円の壁

控除額の表からわかるとおり、アルバイト・パート代が201.6万円以上になると配偶者の収入に関わらず控除額が0円となります。この年収を超えると社会保険だけでなく税金上の扶養関係もなくなるため、扶養範囲内で働くことはできません。控除が適用される範囲内で働きたいのであれば201.6万円は超えないよう必ずご注意ください。

壁まとめ表

各壁をまとめた結果は下記のとおりです。

アルバイト ・パート年収 扶養者 に対する影響 被扶養者 に対する影響 社会保険 に対する影響
98万円   住民税が課税  
103万円 配偶者特別控除に変更 所得税が課税  
106万円     社会保険への加入義務の発生(条件あり)
130万円     社会保険への加入義務の発生
150万円 配偶者の収入に従って控除額が減少    
201万円 配偶者特別控除額が0円になる    

扶養は税金と社会保険への2つに影響するものです。また、扶養を受ける人だけでなく、扶養している人にも影響があります。総合的に確認し、家庭に合った収入額を決定していきましょう。

扶養範囲内で働く際の注意点

扶養範囲内で働く際には年収以外にも注意点がいくつか出てきます。これらの注意点を知っておかないと、考えていた働き方ができなくなるかもしれません。必ず注意点についても確認しておき、予想外のことが起こらないようにしておきましょう。

注意点①今後の働き方についても話し合っておく

今回ご紹介した壁は常に一定ではなく、改正によって値が変わる可能性があります。とくに、106万円の壁は、2024年10月に予定されている改正を含めると3回ほど改正がなされており、今後も改正されるかもしれません。それぞれの改正内容は下記のようになっており、扶養範囲内で働ける条件が厳しくなっています。

  2016年度における改正 2022年度における改正 2024年度における改正
雇用期間 1年以上を超える見込み 2か月を超える見込み -
勤め先の従業員数 501人以上 101人以上 51人以上

子育てに集中したい、少しの間ゆっくり働きたいなどの場合に扶養範囲内で働き、ひと段落ついた段階で扶養から外れるなど、今後の働き方についても考えておく重要性が増すと予想されます。

注意点②月の収入にも上限がある

106万円の壁でご紹介したように、扶養範囲内の条件として月収が定められています。扶養に抑える際には年収に目が向きがちですが、こちらの月収についても考えておかなければなりません。とくに、月によって収入額が大きく変動する場合はご注意ください。

注意点③交通費込みの給与はそのまま給与として扱われる

勤め先によっては給与と交通費を別のものとして扱わず、一緒に支払うことがあります。その場合、交通費も給与と見なされるため、除いた場合と比べると収入額が大きくなってしまうのです。

たとえば、時給1000円+交通費500円と交通費込み時給1500円であれば、年に300時間働くと年収の差は15万円に上ります。交通費込みであるのかどうかを確認し、適切な計算方法で働く時間を設定していきましょう。

注意点④年末調整が必要になる場合がある

扶養範囲内で働く場合でも会社での年末調整が必要です。そして、ダブルワークもしくは他の控除の利用のどちらかを満たすと確定申告も必要になります。

ダブルワークは掛け持ちで働いていることを指します。ダブルワークの場合、年末調整は主となる勤務先でおこない、確定申告は自分でおこなわなければなりません。ただし、主な勤務先以外の所得が20万円をこえていない場合は申告が免除されます。

他の控除としては住宅ローン控除や医療費控除などがあげられます。年末調整にて手続きできない控除がある場合は確定申告で手続きをおこないましょう。

年末調整時に受けることができる控除には下記のようなものがあります。こちらに記載がない控除を受けている場合は年末調整時に受けることができるかどうか別途確認していきましょう。

・基礎控除

・扶養控除

・生命保険料控除

・社会保険料控除

・ひとり親控除

・勤労学生控除

・障害者控除

・地震保険料控除

・小規模企業共済等掛金控除

まとめ

 

今回は扶養範囲内で働くための年収や注意点についてご紹介しました。扶養範囲内で働くにはさまざまな壁があり、それぞれで控除や社会保険への加入義務が異なります。

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