お仕事コラム

会社を辞める時には何が必要?退職後に必要な手続きをご紹介

2023年11月1日

会社を辞めれば終わりではなく、退職後にはさまざまな手続きをしなければなりません。しかし、退職後にどのような手続きがあるのかはなかなか分かりにくいですよね。

そこで、ここでは退職後に必要になる3種類の手続きについてご紹介します。退職をご検討中の方、すでに退職後であり必要な手続きが不明な方は、ぜひご確認ください。

保険に関する手続き

まずは保険に関する手続きについて解説いたします。退職後に手続きが必要な保険は、雇用保険、健康保険、失業保険の3つがあります。それぞれについて概要や具体的な手続き方法について確認し、自分は手続きをする必要があるのか、どのように手続きをしていけば良いのかを確認していきましょう。

雇用保険

雇用保険は失業や休業で働けなくなった労働者の生活を安定させるための公的保険制度です。失業した際には基本手当(失業手当)が支給され、再就職をサポートする給付もあります。

退職日の翌日に入社する際には、雇用保険の加入手続きは転職先の会社がおこなうため、自分で特別な作業をする必要はありません。しかし、退職後に離職期間がある場合は失業保険を受け取るため、自分で手続きをする必要があります。転職先の会社が加入手続きをおこなう場合でも転職先から雇用保険被保険者証が必要になるため、事前に用意をしておきましょう。

雇用保険被保険者証は前職の会社から退職時に受け取ることが多いです。何らかの理由によって雇用保険被保険者証が手元にない場合、ハローワークで再手続きをする必要があります。ハローワークでの再発行には下記の書類が必要です。

・運転免許証、マイナンバーカードなどの顔写真付き本人確認書類

・前に勤めていた会社の名前、本社所在地、電話番号が分かるもの

・官公署から発行・発給された資格などの証明書など

・事業所が手続きを行う場合には代表者印。代理人がおこなう場合は委任状、代理人の本人確認書類、ご本人の本人確認書類

健康保険

健康保険も退職日の翌日に入社する場合は転職先の企業が加入手続きをおこないます。退職後に離職期間がある場合は下記のいずれかの手続きをおこなうことが必要です。

・国民健康保険への加入

・任意継続被保険者制度への加入

・家族の健康保険(被扶養者)に入れてもらう

国民健康保険とは都道府県および市区町村が保険者となる健康保険です。算出方法が市区町村によって異なるため、具体的なものについては市区町村へ問い合わせなければなりません。国民健康保険の手続きに関する情報は下記のとおりです。

手続き期間退職の翌日から14日以内
手続き場所居住地の市区町村役所
必要な書類・健康保険被保険者喪失証明書、退職証明書、離職票のうちどれか1通 ・各市町村の届出書 ・印鑑
保険料市区町村により異なる

ただし、国民健康保険の手続き期間は原則であり、遅れても手続き自体は可能です。ただし、保険料は退職日の翌日までさかのぼって支払わなければなりません。

任意継続被保険者制度とは退職後も在職中と同じ健康保険を継続できる制度であり、被保険者期間が継続して2か月以上であれば最長2年間まで利用できます。下記のように手続きの期間に定めがあるため、任意継続被保険者制度を利用する場合は早めに手続きを進めていきましょう。

手続き期間退職の翌日より20日以内
手続き場所加入していた健康保険組合 または 居住地域の社会保険事務所
必要な書類・健康保険任意継続被保険者資格取得申請書 ・1カ月分(退職日によっては2カ月分)の保険料
保険料以前までの負担額の倍程度

失業保険

失業手当は退職後の失業期間中に申請するともらえる雇用保険の基本手当です。失業保険を受給するためには下記の条件を満たしている必要があります。

・1週間の所定労働時間が20時間以上

・31日以上引き続き雇用される見込みがあること

失業保険を受給するまでの流れは下記のとおりです。

  1. 離職票の受け取り
  2. ハローワークに失業保険の申請
  3. 雇用保険受給説明会
  4. 失業手当振り込み

ハローワークで求職の申し込みをする際には下記の書類が必要です。

・雇用保険被保険者離職票-1・2

・雇用保険被保険者証

・証明写真2枚

・本人名義の普通預金通帳もしくはキャッシュカード

・求職申込書

・住所・氏名・年齢を確認できる本人確認書類

・個人番号確認書類

年金に関する手続き

退職後に必要となる手続きの2つ目は年金です。年金に関する手続きは辞めた時期と次に就職するかどうかで流れが変わります。切り替えの手続き概要は下記の表のとおりです。自分の状況に合った手続き方法を確認していきましょう。

加入していた制度配偶者が適用事業所に勤務かつ配偶者の被扶養者となる条件を満たしている配偶者が適用事業所に勤務かつ配偶者の被扶養者となる条件を満たしていない配偶者が適用事業所に勤務しない場合
健康保険健康保険の被扶養者国民健康保険など国民健康保険など
厚生年金制度国民年金第3号被保険者国民健康保険第1号被保険者国民年金第1号被保険者 

配偶者が適用事業所に勤務しない場合は自営業や主婦などがあります。

会社を月末にやめた場合

会社を月末に辞めた場合、厚生年金保険は3月31日までになり、国民年金は4月1日からになります。子の場合、国民年金への加入手続きが必要です。手続き場所や書類は下記のとおりです。

手続き期間退職日より14日以内
手続き場所居住地の市区町村役所
必要書類基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
提出者本人または世帯主

退職直後に第1号被保険者の加入手続きを行う場合は、加入していた被用者年金制度(厚生年金保険等)の資格喪失日を証明できるもの(離職票等)が必要になる場合があります。加入手続きが遅れた場合は国民年金加入のご案内が自宅に届きます。もし忘れていた場合は書類に従って手続きを進めていきましょう。

会社を月の途中でやめ、翌日からは就職をしない場合

会社を月の途中でやめ、翌日に就職をしない場合は、厚生年金保険は会社の退職日、国民年金は退職日の翌日以降になります。手続き自体は会社を月末にやめた場合と変わりません。

会社を3月末にやめ、4月途中で新たに会社に入社した場合

こちらの場合、厚生年金保険は3月31日まで、国民年金は離職期間中、厚生年金は新たな会社への就職日となります。つまり、離職期間中のみ国民年金に加入することが必要です。こちらも手続き自体は今までのものと変わりません。

国民年金第2号被保険者の扶養者になる場合

国民年金第2号被保険者の扶養者になる場合は第3号被保険者になるための手続きが必要です。こちらは配偶者の勤務先を通じて書類の提出をおこなっていきます。手続きの流れは下記のとおりです。

1.従業員から配偶者が国民年金第3号被保険者に該当する、又は該当しなくなった旨の申し出を受ける

2.国民年金第3号被保険者関係届を被保険者に渡し、被扶養者に記入してもらう

3.被扶養者は作成後、被保険者を通じて国民年金第3号被保険者関係届を事業主に提出

4.会社から管轄の年金事務所に提出する

そして、国民年金第2号被保険者が退職した際、その被保険者に扶養されていた配偶者は国民年金第3号被保険者の資格を喪失するため、国民年金第1号被保険者の手続きをする必要があります。国民年金第1号被保険者の手続きは会社を月末で辞めた場合などと同等です。

税金に関する手続き

最後の手続きは税金です。税金に関しては住民税、所得税、確定申告の3つが必要な手続きとして出てきます。税金に関してどのような手続きが必要であるのかを確認し、自分に必要な手続きを1つ1つ進めていきましょう。

住民税

住民税の支払いは6月~12月に退職した場合と1月~5月に退職した場合で手続きが異なります。

まず、6月~12月に退職した場合、残りの全額を一括で支払う場合は最終月の給与から天引きされます。分割で支払う場合は後日送られてくる普通徴収の納税通知書に従って手続きを進めていきます。転職した場合は転職先が特別徴収への切替申請書を提出しますが、提出時期によって納付期限を過ぎている分は普通徴収で納めなければいけません。

1月~5月に退職した場合、5月までに納めないといけない残りの住民税額を、退職時に一括で支払います。こちらは最終の給与から天引きされるのが一般的です。その後、6月1日時点で再就職をしている場合は前年分の住民税は転職先の給与から天引きされます。

退職する際に転職先がすでに決まっており、転職先で来年の5月までの住民税の給与控除について引き継ぐことができる場合は転職先の担当者に連絡しましょう。また、住民税は1年遅れて課税されるため、退職した後も支払いが続くことになります。その間に収入がなくとも支払いが発生する点にご注意ください。

所得税

所得税は年内に再就職をした場合としていない場合で手続きが分けられます。

年内に再就職をした場合は再就職先の会社で「年末調整」を行うことで還付を受けられます。転職前の会社の源泉徴収票を転職先の会社に提出すると手続きが終了です。しかし、医療費控除を希望する場合は自分で確定申告をおこなわなければなりません。

年内に再就職をしない場合は翌年の2月~3月中旬に自分で確定申告をおこなう必要があります。確定申告書、前職の源泉徴収票と各種控除証明書、印鑑が必要になるため、事前に準備しておきましょう。

また、会社以外からの所得がある場合にはそちらも含めなければなりません。所得の種類には下記のようなものがあります。給与所得以外からの所得もある場合は注意しておきましょう。

・給与所得

・事業所得

・利子所得

・配当所得

・不動産所得

・退職所得

・山林所得

・譲渡所得

・一時所得

・雑所得

確定申告について

確定申告は下記の2つの目的でおこなうものです。

・納税額を確定させる

・所得控除や税額控除などの適用を受ける

会社を辞めると給与の受取先が2種類になったり、給与が年度の途中でなくなったりするため、確定申告が少し複雑になるのです。確定申告の手続きの流れは下記のとおりです。

  1. 確定申告書を作成する
  2. 必要書類を準備する
  3. 確定申告書の提出
  4. 納税

確定申告書は国税庁のホームページからダウンロード、もしくは税務署で受け取ることが可能です。また、確定申告書はオンライン上で提出することもできます。

確定申告に必要な書類は下記のとおりです。

・本人確認書類:マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど

・所得証明書:給与明細表、源泉徴収票など

・所得控除や税金控除を証明できる書類:住宅ローンの控除証明書、故郷納税の受領証明書など

確定申告は翌年2月16日から3月15日までの間にする必要があります。混雑したり書類準備に時間がかかったりすることもあるため、なるべく早い段階から準備をしておきましょう。

まとめ

今回は退職後に必要になる手続きについて解説しました。退職後の手続きが必要になるかどうか、手続きの流れは退職前後の状況によって異なります。まずはご自身の状況を把握し、どの情報を参照すれば良いのか明確にしてから実際の手続きを進めていきましょう。

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